Week9の構成と動き方
■OWLで最も人気だった構成
トールビョーン / リーパー / ラインハルト / DVA / ルシオ / モイラ
最初はドゥームリーパーがメタだったが、それに強いトレリーパーやソンブラリーパーが台頭し、さらにそれを抑えるためにトールビョーンが採用された。トレーサーとソンブラはタレットがあると動きにくいのはもちろん、ドゥームもポーク力がなく戦場が狭くまとまりやすいのでタレットが壊せないためミラーになる場合が多い。
■各ヒーローの動き方
・トールビョーン
戦闘が始まるまでタレットは置かず、始まったら適当にタレットを置きあとは敵を撃つ。Eのオーバーロードがあるなら機を見てロームしてみてもよい。
・リーパー
ひたすら敵のハルトに張り付いて盾を張らせる。
・ラインハルト
ハンマーを振れば振るだけキャリーできる。どれだけハルトがハンマーを振れるかというところから逆算して集団戦を組み立てる。ショットガンが二人いるので気を抜くとありえない速度で溶かされるのでHPと盾管理には細心の注意を。
・DVA
常に味方のハルトをカバーできる立ち位置にいること。タレットがフリーだからと飛んでいくとリーパーにハルトを溶かされるので注意。相手のリーパーが食い込んできたらDMを張ってその間にハルトが殴ってレイスを使わせ引かせる。
・ルシオ
ひたすらリーパーをブープし、全体のHPが負けてたらヒールブースト、勝っていたらスピードブーストをする。
・モイラ
一番はハルトのケア。DVAがいるとダメージオーブはほぼほぼ消されるので、ウルトチャージの観点からもヒールオーブでよい。ウルトは回転数重視でどんどん撃っていい。
Week6-8の構成と動き方
本来はWeek6のものだが、COVID-19の影響でWeek6-7が中止になったのでWeek8に適用された。
■OWLで最も人気だった構成
マクリー / ドゥームフィスト / ラインハルト / ザリア / ブリギッテ / アナ
ハンゾー / メイ / オリーサ / シグマ / バティスト / ゼニヤッタ
最も人気だった構成なのに2つあるのはそれくらいチームよって分かれていたからだ。サポートとタンクの組み合わせはそう多くはないが、DPSは相手によってコロコロ変えていたのでどれが一番というわけでもなく上に出したのは一例にすぎない。
■各ヒーローの動き方
割愛。
Week 5の構成と動き方
■OWLで最も人気だった構成
トレーサー / ソルジャー / ウィンストン / DVA / ブリギッテ / ゼニヤッタ
シーズンいつだかのダイブ全盛期に戻ったかのような構成。初めてのヒーロープール導入ということで、一番構成の幅が広かったように思える。
■各ヒーローの役割
・トレーサー
基本は相手のトレーサーとタイマンするかタンクを狙って飛ばせなくする。時にはバックラインに入って視線誘導したり瀕死の報告が入ればそっちに行ったりと一番忙しい。チームの小さな有利を大きくするための潤滑油。
・ソルジャー
味方のバックラインの主柱となり火力を出す。相手が飛んで来たらEを置いて味方のサポートを守る。自分が前に出るべきなのか引くべきなのか見極めるためのポジションとタイミングが難しく、センスというか嗅覚みたいなものが必要。
・ウィンストン
不和をもらうと秒で溶けるので障害物を利用しながらポジショニングするのが重要。味方のソルジャーが動きやすいようにエリアを展開する。相手のバックラインに飛ぶというよりは相手のタンクをどかす方がうまくいきやすい。
・DVA
味方を守るのか相手を攻撃するのか判断するのは非常に難しいが、相手によって動きを変えるのがベター。バックラインに飛んでくる相手はウィンストンに粘着し、飛んでこない相手は味方のウィンストンをカバーしエリア取りに参加する。
・ブリギッテ
一番地味な役回りだが、抑止力というのはそういうものである。アーマーパックを味方のトレーサーに配りながら、相手のトレーサーとウィンストンの位置を常に把握しダイブに備える。バックラインの中では固い方なので率先して前に出てタンクするのも重要。
不和は常に相手のウィンストンに付けて飛ばせないようけん制する。ブリのアーマーがあるとはいえ身体がやわらかいので火力を出そうと甘えた位置を取るのは悪手。
Shockは敢えてサージを消していない~新説GOATSアドバンテージ論~
ステージ2プレイオフ決勝を見返していて気になったシーンがあったので記事にします。
それは1MAP目のLijiang TowerのNight Marketでの集団戦。この直前にお互いにサウンドバリアを、Haksalがラリーを使ってShockが集団戦に勝利しています。
そしてこのシーン。お互いサージ自爆と虹彩そしてシャターがあるのがわかっています。
ここで問題になるのがサージ自爆を打つのかどうかという点です。サージ自爆は虹彩を貫通できるコンボなので強力な分、対策としてザリアのバリアを合わせるというのが一般的になっており、リーグ全体でかなり成功率が低くなってきています。最近ではそこにシャターまで合わせてタンクのウルトを3つ使うという荒業もあります。
ここで話を戻しましょう。お互いサージ自爆があるのがわかっているので、先打ちしたとしてもザリアのバリアで防がれるでしょう。だからといってそこにシャターを合わせてその集団戦に勝ったとしても、次の集団戦はウルト差で負けてしまいます。しかもポイントのパーセンテージも負けている上にまったく進んでいないので、負けるにしてもなるべく99%まで確保したいところです。つまりゲーム全体で考えたときにShockが勝つには2つの方法を迫られます。
それは「なるべく最小限のウルトを回して勝つ」か「相手にも同じだけウルトを使わせて勝つ」かのどちらかです。
この状況で前者は非常に難しいです。なぜならShockはこのマップではファーストウェーブに負けて取返しでお互いウルトを1つずつ使いあって勝ったので、ウルトを潤沢に持っていることは両者ともに明らかです。サポートウルトがある以上、必要最低限で抑えるのは現実的ではないでしょう。
となると選択されるのは後者です。しかし上で書いたようにサージ自爆だけでは足りず、シャターまで使うと次がきつくなります。そこでShockのとった行動が敢えてコンボを狙わない波状攻撃です。ここで敢えてサージを打たせるという戦術が出てきます。
実際の流れを見てみましょう。
わざとマトリックスを見せてサージを打たせ、即座に自爆を返すことで追撃しようと前に出たゼニヤッタが避けられず死なないために虹彩を吐かざるを得なくなり、自爆で盾が割れてシャターが通り、使わせた虹彩の終わり際にサージを打って4キルとり、しかも自爆とシャターも使わせるという完璧なシナリオ。
今回は敢えてサージを打たせるという戦術を紹介しましたが、 サージ自爆の成功率が低い(というより防ぐのが当たり前になってきた)ので、実はShockに限らずいくつかのチームは相手のサージに自爆を返すという戦術を取っています。DVAをロームさせてザリアの視界の外からマトリックスを張って最大限サージ消す努力をしながら、もし消せなかった場合は相手のサージの位置に自爆を投げるという動きをしているプレイヤーを間々目にします。
これには2つメリットがあります。まず相手のハルトがチャージでひとり持っていくことができなくなること。もうひとつは、相手のDVAが自爆を投げた場合かなりの確率で中身(ソンハナ)を飛ばせるということです。
サージと自爆を合わせるのが強いという思考にとらわれてしまがちですが、一歩引いて試合全体の流れを見てみると違った選択肢も生まれてきます。特にウルトを読まれているときは相手もバリアを温存して戦うのでコンボを決めるのは簡単ではありません。さらには上のシーンのようにコントロールでパーセントが負けている(特に99%取られている)ときは、どのように試合を進めていけば(=どんなウルトの使い方をすれば)勝てるのかまで考える必要があります。
あえてサージを打たせるという大胆な一手こそが勝機なんだと伝わるシーンでした。
メイン?サブ?フレックス?サポートロール呼称問題
お題箱からのリクエストを受け付けるようになりました。解説してほしいことがある方は下のリンクからお願いします。
第一弾はこちら。
これは自分も昔から非常に気になっている部分で、最近ようやく統一されてきたかなと感じています。
結論から言うと、メインとサブは役割によって変わります。そしてメインとサブの境界はDPSではなくなってきていますね。サポートやタンクにはまだ用いられています。
まずは日本におけるメインとサブの歴史からお話しします。
日本ではずっとメインをアナゼニ、サブをルシオマーシーと呼んできました。これはおそらくヒール量の多い方をメイン、少ない方をサブとしたのではないかと思います。いつどこから始まったのかはわかりませんが、かなり昔からそう呼ばれてきたのは確かです。
これだけなら「国内ではそう呼ぶのね」で終わるかもしれませんが、そうもいかないメタが来ます。それがソンブラメタです。アナ枠をソンブラに変える1サポ構成が爆発的に流行しました。それによって海外でメインとサブという呼び方が変わりメインとフレックスになったのです。このあたりからややこしくなってきます。
自分はこれは本当に完成された呼称だと思っていて、オーバーウォッチにおけるすべてのメタはメインとフレックスで説明できます。
サポートに限らず、基本的に何があっても自分のロールから変えないのがメイン、他のロールをピックするのがフレックスです。
ソンブラメタのルシオや4DPSのマーシーなどで1サポをするのがメインサポート、ソンブラやホッグなどをピックするのがフレックスサポートとなります。
話が少し逸れましたが、このことにより日本ではロールが逆なうえに呼び方も異なるという特異な環境におけれることになりました。
この何が問題なのかというと、海外から情報を適切に得ることができないという点です。
何かの記事を読んだりする際に、メインとフレックスを入れ替えて理解するのは非常に非効率的ですし、そもそも逆だと認識していない場合は間違った知識として取り込むことになってしまいます。
もちろん海外の知識を取り入れる必要のない人には問題ではないですが、そもそもメインとサブ/フレックスと分けて呼ぶのは競技シーンにいるか興味のある人間がほとんどだと思っています。
これがメインサブ問題です。最後にサブフレックス問題に少しだけ触れて終わります。
サブとフレックスという呼び方については伝わればどちらでもよいかなと思います。
似たようなものにサポートとヒーラー問題がありますが、個人的にはこれもどちらでもよいと思います。
これは文化的な背景が多少あるようで、NAやEUではフレックスおよびサポートと呼びますが、韓国ではサブおよびヒーラーという呼び方が一般的です。なのでどちらかが間違っているというわけではなく地域によって異なる場合もあるということですね。
まとめると「メイン」と「サブ/フレックス」の定義が逆である状態が特殊なだけで、サブやフレックス、サポートやヒーラーは伝わればいいということです。
最初にも書いたように現在はメインとサブが入れ替わった状態から元に戻ったので、特に問題はないと思います。
OWLから学ぶGOATSの3スタイル
OWLもステージ2が終わり残すところはステージプレイオフ。
これが終わればすぐオールスターが開催されそのあとは一か月のオフに。
先月新ヒーローバティストが追加されほとんどのDPSにバフが入ってもなおGOATSはメタの中心にいる。
もちろんjeffの意向など知る由もないが、GOATSを良しと思っていないのならこのオフ期間中に大きなパッチが入ることは想像に難くない。
そこで今のうちにGOATSとはなんたるやということを書きしたためておこうかと。
この記事ではそもそもGOATSってなんぞやというところには触れず、戦術としてどう昇華したかについて書くので、普段から大会観戦をしている人や競技者向けになるかも。
■異なる3つのスタイル
GOATSは構成こそどのマップでもどのチームでも同じだが、その戦術は大きく異なっている。現在GOATSには3つのスタイルが存在していると認識している。ハルトにキャリーさせるアーリーゲームスタイル、ザリアにキャリーさせるレイトゲームスタイル、そしてチームベースで動くミッドゲームスタイル。わかりやすくOWLのチームに当てはめると、順にバンクーバー、サンフランシスコ、ニューヨークとなる。
- アリーゲームスタイル
早期決着型ともいえるこのスタイルは、攻撃的なラインハルトを軸に組み立てられている。自分の体力や盾を犠牲にアドバンテージを獲得し押し込んでいくが、脳筋に見えて厳密なHP管理や掴んだ有利を離さない連携が必須。 - レイトゲームスタイル
OWで唯一スケールするヒーローであるザリアを中心に動く。最初は相手にエリアを明け渡す代わりにエネルギーやスキルの有利を保持し、それを放出しながらゆっくりと戦い徐々に有利を広げていく。 - ミッドゲームスタイル
軍隊のように統率された動きで相手の動きに素早く対応し、その場で的確な解答を導き出し続けるスタイル。6人全員に高度な連携と状況把握能力を要求されるので難易度が段違いに高い。
GOATSは絶対的エースがいるチームより平凡でもミスをしない6人が勝つ――まったくもって同意するが、戦術を組み立てる際には中心となる選手あるいはヒーローがいることもある。
GOATSとは結局のところ「どんなアドバンテージを取りたいか」であり、そのアプローチの仕方がチームの特色として表れている。体力やエリアの有利が欲しいなら攻める、盾やスキルの有利が欲しいなら引く/隠れるなど、目的によって戦い方は180度変わる。
OWLの全試合や戦術を網羅しているわけではないのでもちろんこの3スタイルだけではないかもしれないが、こういう視点を持ってお気に入りのチームを見て何か気付くことがあればより面白くなると思う。
executionってなに?
最近自分がOWLを観るにあたって新たな視点で評価しているのは選手のexecution。
execution(エクセキューション)は直訳すると実行とか遂行という意味だけど、この場合はもうちょっと限定的な状況を定義する。
それは「(戦術における)遂行能力」のこと。コーチが要求する戦術やその役割について、選手がどのくらいコミットできるか—正確に遂行できるかというもの。
(ちなみにexecutionには処刑という意味もあって、ちょっと前に流行った鬼畜ゲ―で出てきたしそっちで覚えてる人も多いのでは。)
今のメタでよく見られる3DPSを例にして、一番わかりやすいDPS(ファラ)視点でGOATSが相手だとして考えてみる(GOATSは説明だけで記事1つ書けてしまうので機会があれば)。
3DPS構成においてファラの重要性は言うまでもなく頂点だ。GOATSはその性質上囲まれるのに弱いので、マップに依存せず上からの射線を確保できるファラは貴重な存在である。その弱点をついて相手を囲みポークで体力を削り、バレッジやEMPといった強力なウルトで殲滅するのが3DPS構成の基本的な戦い方だ。
そんなファラが瀕死の相手を追いかけて、リスクをとってキルを狙いに行くも自分がデスしてしまったら?上からの射線がなくなったGOATSは「攻めに行くと上から撃たれて事故死する」という悩みの種がなくなったことにより一気に選択肢が増える。この要素は仮に1:1交換できたとしてもなおGOATS側にアドバンテージがある。そもそも安全な位置から撃っていれば自然に有利が取れるのに、欲を出して逆にキルされるというのは戦術そのものを理解していないことになる。
こういう場合は単にミスというよりは遂行能力の欠如(による判断ミス)と説明したほうが正確だ。
アナが隠れて相手のハルトにスリープを当ててシャターを決める作戦を失敗したとして、スリープを外したらアナのexecutionが悪いのか、または作戦そのものがアナのexecutionを過信していたのか。
難しい部分ではあるが、コーチはそれを見極めて戦術を練らないといけないし、選手もそれに応えられるよう努力してなくてはならない。
さらには相手が自分たちの戦術を好きにやらせてくれるとは限らないのが一番難しいところだ。しかしだからこそexecutionが求められるのではないだろうか。
最終的に実行するのは選手だが、かといって丸投げではなく戦術の正確性や緻密性・事前の打ち合わせなど判断基準を明確にすることで精度を上げることは可能だろう。